気になるアパートの老朽化!リスクや対策についてお伝えします

2020年11月30日(月)

​長期的な収益や節税など、アパートの賃貸経営にはさまざまなメリットがあるのはよく知られています。
一方でアパートの経年劣化による老朽化は頭の痛い問題です。

所有する物件の近隣には新しいアパートも建築され、所有する物件の老朽化が気になるオーナーも多いのではないでしょうか。
老朽化が進行すると入居率も低くなり、空き室の増える可能性が高まります。

また老朽化によって建物自体の安全性や居住性の確保も難しくなってくるのです。
所有するアパートの築年数によっては、建て替えやリフォームなど対策を考えなくてはなりません。

​アパートの老朽化による問題やリスク、解体・建て替えやリフォームを選択する基準について、くわしく解説します。​

老朽化したアパートのリスク

アパートの老朽化が原因で建物が劣化し、あちこちに不具合が出始め、思ってもみないリスクが発生するのです。
また外観の劣化や機能性の低下もリスクを招くでしょう。
アパートの老朽化に伴うリスクには、以下の3つが懸念されます。

人身事故のリスク

老朽化したアパートは思わぬ事故を招きます。
建物そのものの機能が低下し、不具合や事故につながるのです。

これまで、次のような人身事故の例が報告されています。

  • アパートの外壁が古くなってはがれ、落下したタイルで通行人が怪我を負った
  • 老朽化したアパートの外階段が抜け落ち、住人が怪我をした

所有者が必要な安全対策を怠っていたと判断されれば、損害賠償責任が問われる可能性が高くなるでしょう。

地震や火事などの災害リスク

​日本は災害大国で、特に地震のリスクは世界随一です。
建築物は地震によって倒壊しないよう、建築基準法によって耐震基準が定められています。
建築基準法は1981年6月1日、震度6強程度以上の地震でも倒壊しない新耐震基準に改定されています。​

つまり5月31日以前に建てられたアパートは旧耐震基準に基づいている可能性が高くなります。
現在安全性の指針となっている新耐震基準の適用を受けていないのです。

ケースバイケースですが、大規模な災害であれば不可抗力としてオーナーが責任を免れる事例がほとんどです。
しかし、建物が老朽化しており、以前から安全性や管理体制が不十分だと見なされた場合は、責任を問われるケースも考えられます。

​ブレーカーなど電気回りの老朽化によって、火災のリスクも高まります。
新築では、建築資材にも燃えにくいものが採用される場合もあります。
しかし、老朽化した古いアパートは建築当時の古いままで、火災に弱い側面があります。​

空室リスク

一度空室が出たら、次の入居者が決まらない空室リスクも老朽化したアパートの問題点となっています。​

新築物件にはデザインに凝ったお洒落な外観のもの、清潔感のあるアパートが多くあります。
当然ながら、新築アパートに入居者が集中し、老朽化したアパートは不人気物件となります。
入居者を確保したい一心で、家賃を下げても満室にならないこともあります。
結果的に家賃は下落し、アパートそのものの価値を下げてしまうのです。​

老朽化したアパートへの対策

​以上のように、築年数の経過した古いアパートには複数のリスクが伴います。
回避する選択肢としてアパートをリフォームする、解体して建て替えを検討する方法があります。​

リフォーム

​リフォームとは、アパートのベースはそのままに、古くなった箇所や壊れた部分を修繕することをいいます。
修繕といってもたた直すだけでなく、部分的に改築したり、増築したりする場合も含みます。

​内装をほぼすべて取り替え、まったく新しくするリノベーションもリフォームの一環とされています。
リノベーションは作りがしっかりとした鉄筋コンクリート造りのアパートに適しており、がらりと印象を変える効果があります。
新たな付加価値となり得ますが、大幅な改修となるため、リフォームよりもコストがかかるケースも少なくありません。​

解体

​建築物の基礎そのものを取り壊し、更地にするのが解体です。
心機一転、新しい物件を建て直す場合もまずは老朽化したアパートを解体する必要があります。​

構造体 法定耐用年数
木造 22
木造モルタル 20
石造 38
鉄骨造 厚3mm以下 19
厚3mm超4mm以下 27
厚4mm超 34
鉄筋コンクリート 47

​一般的に不動産は、新築から時間を経てその資産価値は下がります。
価値が減少していく分を一定のルールを決めて計算する不動産の減価償却費です。
一定のルールとなっているのが、住宅の法定耐用年数と呼ばれるもので、木造では22年、鉄骨造(厚3mm超4mm以下)では27年となっています。​

​また耐震基準が新しくなったのは1981年であることから、築30年以上を目安にアパートを解体・建て替えをおすすめします。

一方、一部を改修するリフォームは、低コストで工期も短くすむケースも多いでしょう。
ケースバイケースですが、築年数が30年以下のアパートであれば、リフォームも一案といえます。

アパートの老朽化を判断するチェックポイント

外観の劣化が目立っていても、機能的には問題のないアパートもあります。
逆に外見はそれほど劣化していなくても、見えない部分が驚くほど老朽化しているアパートもあるのです。
老朽化を判断する具体的な基準やポイントをご紹介します。

築年数

​木造アパートの場合、築年数が30年以上ならば建て替えを検討しましょう。
先に紹介した法定耐用年数や新耐震基準の制定(1981年)を基準に考えても、30年以上経過すると機能面や安全面で管理が難しくなります。​

加えて、築年数が30年以上経つと、内装の仕様が時代にそぐわなくなってくるケースがほとんどです。
木造よりも頑丈な鉄筋でも、35年以上を目安に建て替えを決めるといいでしょう。

例外的に、築年数が新しくても、老朽化が早いアパートも存在します。

  • 海側で塩害の影響が大きく、屋根がすぐに錆びてしまう、台風など風の被害が大きい
  • 西日が強く当たり、外壁が劣化しやすい

立地や気象条件次第では、築年数以上に劣化しているケースもあります。
築浅物件であっても、老朽化していると判断できるケースもあります。

空室率

築年数が30年以下でも、入居者が集まらないアパートも存在します。
例えばキッチンやユニットバス、ボイラーの劣化など、生活に必要な水回りが古いと、不人気物件となりがちです。

​設備の劣化以外に、間取りが現代のライフスタイルにそぐわなくなってきているのも人気のない一因です。
外観や内装を含め、「古い」印象のアパートは、築年数に関係なく入居者が集まらないのです。
全戸の80~90%が空室となっているなら、アパートの老朽化が進んでいると判断しましょう。

老朽化しているなら解体がおすすめ

外観が古くさく内装も時代のニーズに合わない、また耐震性など安全面からも不安が募る老朽化アパートは、思い切って解体を決断しましょう。
解体して更地にし、新しいアパートに建て替え、あらためて入居者を募ることができるからです。

老朽化したアパートを解体し、新築物件を建てるとなるともちろんコストはかかります。
しかし、新しい物件は多少家賃をアップしても、入居率が上がる可能性が高くなります。

解体するのに最適な時期

老朽したアパートを実際に解体するにあたって、適した時期はあるのでしょうか。
お持ちの物件が次の条件に当てはまるのであれば、解体や建て替えによるメリットが大きくなります。

築年数が30年以上

アパートの建築から30年以上経過している場合、外観や間取りがトレンドから外れ、入居者を集めるのが難しくなります。
設備も古くなり、小さなリフォームや修繕を繰り返し、かえってコストがかさんでしまいます。

新しい耐震基準に適合していない物件では、老朽化による事故など安全面においても高リスクです。
解体や建て替えを行えば、入居者の増加や維持管理費の軽減等収益性の向上が期待できます。

さらに、アパートを購入・建築の際、ローンを組んでいるのなら、築年数が30年を超える物件であれば完済していると予想できます。
法定耐用年数(木造22年、鉄骨の厚みが3mm超4mm以下の鉄骨27年)がローンの返済期間を基準としているからです。
費用面においても30年は一区切りとなり、解体・建て替えを検討しやすくなります。

​加えて、解体・建て替えをすることで、あらためて減価償却費が計上できます。
法定耐用年数を超えて減価償却費が計上されなくなった古いアパートを保有するよりも、所得税の節約や期待できます。

空室率が80%以上

解体予定のアパートに入居者がいる場合、同意を得た上で、立ち退き料を払わなくてはなりません。
金額を含めた諸条件の交渉は、手間やコストが必要となります。
すべての入居者から同意を得る必要がありますから、入居者の数だけ交渉を重ねなくてはならないでしょう。

​もし現状、空き室が目立つのなら、立ち退き料を払ったり、交渉を行ったりする入居者は少なくてすみます。
空室率が高い今こそ、老朽化したアパートを解体する好機なのです。

そして相続をお考えの場合は、相続税も気になるところです。
アパートの相続税は、入居率が高い、満室に近いほど相続税評価額小さくなり、節税効果も高くなるのです。
お持ちの物件が80~90%が空室であれば、解体し、建て替えをおすすめします。

まとめ

老朽化したアパートをそのまま所有していると、安全面やコスト面などさまざまなリスクが発生することになります。
空室も増え、資産としての価値も低くなってしまうでしょう。​

特に築30年以上のアパートは老朽化が進行し、リフォーム等小手先の対策では問題解決が難しくなります。
ある程度早い段階から解体、建て替えを検討し、準備を進めていくのがベストです。

当社は埼玉県をはじめとし、東京、千葉県、茨城県などのお客様のところ(現場)にお伺いし、丁寧な仕事で納得のいく解体工事を行っています。
産業廃棄物の収集運搬、中間処理業まで一貫した作業も可能ですので、老朽化したアパート対策にお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。


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