気づいたら進んでいるかも結構進んでいるかも?アパートの劣化のサインについてお伝えします!
アパートを経営していると、避けては通れない問題に「劣化」があります。築年数の経ったアパートは、時の経過とともに次第に劣化し、アパート経営において大きな痛手をもたらします。
この記事では、アパートの劣化にはどのような種類があるのか、築年数別に建物がどのような状態になるのかについてご説明します。また、古いアパートを経営するデメリットについても、併せてご説明しましょう。
アパートの劣化の種類
ひと言で「アパートの劣化」と言っても、劣化の理由によって大きく2種類に分けられます。ひとつが「アパートの住居人の行為による劣化」、そしてもうひとつが「アパートの建物として避けられない劣化」です。
下記に紹介する「通常損耗」や「経年劣化」は、「アパートの建物として避けられない劣化」にあたります。このような劣化の場合は、住居人が退去する際に、現状回復の費用を敷金から差し引くことはありません。
ただし、子どもの落書きや掃除を怠ったことによる汚れのように、「アパートの住居人の行為による劣化」の場合は、その原状回復費用を敷金から差し引くことになります。
通常損耗
「通常損耗」とは、住居人が生活をしていくうちに、自然とできてしまう傷や凹みなどのことを指します。
たとえば、壁にカレンダーをかけるときにできた画びょうの穴や、冷蔵庫の後ろ側にできる電気焼け、タンスや本棚を置いたときにできる床の凹みなどが、通常損傷にあたります。
経年劣化
劣化の中には、時間の経過とともに自然に劣化するものもあります。それが「経年劣化」です。
たとえば壁紙が太陽の光を浴びて日焼けしたり、何年も使ったトイレのパッキンが故障するといった現象は、経年劣化に当てはまります。
何年かに一度は、経年劣化による大規模リフォームも必要で、数十年後には建て替えも視野に入れる必要があるでしょう。
アパートの「古い」の基準とは?
よく「このアパートは古い」というような言い方をしますが、アパートの「古い」という基準は、いったいどのぐらいの築年数を指すのでしょうか?
アパートが古いかどうかという判断は、そのアパートの材料や価値観によっても異なり、厳密な基準はありません。
何年経っても新築のように見えるアパートもあれば、10年しか経っていないのにやけに古くさく感じるアパートもあります。
国税庁が定める耐用年数
建物構造 | 耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 | 19~27年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
国税庁では、上記のように建物ごとに耐用年数を決めており、これがアパートの古さを決める目安になっています。アパートの建て替えを考える際も、この国税庁の耐用年数が、ひとつの目安になるでしょう。
たとえば、木造アパートを建てた場合は、築22年を超えると、「そろそろ建て替えのタイミング」と考えることができます。
もちろん、これは税務上の価値であり、この年を過ぎたからといって強制的に建て替えが必要になるわけではありません。気候や立地条件などによっても、建て替えのタイミングは微妙に異なってきます。
実際のアパートの築年数別の傾向
では、実際にアパートは、築年数が増えることによってどのように変化するのでしょうか?
実際に成約された物件の築年数の割合を見ると、意外にも「築31年以上」が最も多く、32.7%を占めています。しかもその割合は、年々増加傾向にあります。
このことから、築年数が古いアパートもたくさん存在しているということが、わかるかと思います。
築年数経過のアパートの状態
たとえ古いアパートでも、しっかりとメンテナンスを行っている魅力的な物件であれば、入居者を確保することはできます。
そのためには、室内の経年劣化や自然損耗にきちんと対処し、必要に応じてクロスや床を張り替え、古い設備を交換するなど、常にメンテナンスを怠らないことが大切です。アパートの劣化を放置していると、床が抜けるなど重大な問題に発展しかねないので、十分に注意しましょう。
この章では、大まかな築年数別に、アパートにどのような異変が起こり得るのかについてご紹介します。
築10年から15年程度
築10年~15年程度になると、少しずつ建物は劣化し始めます。特に目立つのが、エントランス部分や外装部分の劣化です。それ以外にも、室内の給湯器やエアコンが寿命を迎えるなど、住宅設備の交換も必要になってきます。
こうした住宅設備の修繕・交換に関しては、住居人が故意に故障させたものでない限り、大家さんが負担する必要があります。
築16年から25年程度
築年数が16年〜25年程度になると、エアコンや給湯器のように交換可能な住宅設備が劣化するだけでなく、床の沈みや壁紙の剥がれなども目立ち始めます。
このときに、「この程度なら生活に影響ないから」と、床の沈みを修繕しない大家さんもいますが、長年放置することで床が抜けてしまうようなこともあるので注意しましょう。
築26年以上
築26年以上になると、いよいよ水道管など、目に見えないところの劣化も進み始めます。
また、この辺りになると多くのアパートは耐用年数を迎えるので、建物の構造などによって差はあるものの、大規模な建て替えやリフォームを検討する人も少なくありません。
古いアパートを経営するデメリット
古いアパートは賃料が低いので、一定数の入居者を確保しているケースは多いのですが、心配なのは賃料収入や建物の劣化だけではありません。古いアパートには、それ以外にこんなデメリットもあるのです!
設備の不足
アパートを建ててから10年・20年と経過すると、住む人の生活様式も変わってきます。
たとえば20年前まではキッチンとリビングが別々になった間取りが主流でしたが、いまはリビングとキッチンが一体となった間取りが一般的です。このように、古いアパートは間取りや設備が時代遅れになってしまうケースも、少なくありません。
また、年月が経つと周辺の状況が変わり、アパートの需要がなくなってしまったりするケースもあります。入居者を惹きつけるのが難しくなると、住居人の数は先細りになり、減ることはあっても増えることはありません。
収益状況の悪化
アパートが古くなってくると、いろいろなところに不具合が生じてくるので、その度に修繕・交換をしなければならなくなります。
賃料が安くなるにもかかわらず、メンテナンスのための管理費は上昇する一方なので、収益状況が悪化して採算が取れなくなるアパートもあります。
耐久性・耐震性の不安
日本は地震国なので、古いアパートを経営していると、建物の耐久性がネックになることもあります。古い建物は耐震性の点で不安があるため、「もしも大きな地震がきたら、このアパートは持ちこたえられるだろうか?」という心配が、常にあるでしょう。
日本はこれまで何度か耐震基準の見直しをしてきましたが、最も大規模な改正を行ったのは、1981年の「新耐震基準」です。それ以前に建てたアパートは、現在の耐震基準を満たしていない可能性が高く、その場合は耐震リフォームを行う必要があります。
しかし、高額の工事費用とアパートの収益を天秤にかけると、「取り壊した方がいい」という選択になる場合もあるかもしれません。
最後に
アパートは古くなるほど劣化して入居者が減り、耐震性の面でも不安になるなど、古いアパートの経営にはデメリットが多いことがおわかりいただけたかと思います。
もちろん冒頭にもお伝えした通り、築年数が経っているからといって、すべてのアパートが建て替えなければならないわけではありません。
ご自分のアパートの状態を確認しながら、より深刻な劣化を防ぐためにも、早めの建て替え・リフォームを検討しましょう。
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